今年で四年目を迎える米作りです。原料を知ることは焼酎を深く知ることに繋がります。
国産米のジャポニカ品種はアミロースが少なく、アミロペクチンを多く含みます。もち米はアミロペクチンだけです。外国のインディカ種はジャポニカ米に比べるとアミロースが多く、アミロペクチンが少ない構成になっています。
国産米は水分が多く、やわらかく食べるには美味しいのですが、焼酎造りには手間が欠かせません。水分が多いゆえに固まってしまいます。蔵人は米の塊を砕きながら麴の浸透を促進させています。
当蔵のインディカ米はタイ産を使用しています。水分量が国産米よりも少なく、麴が一粒一粒の米に絡み芯にまで入り込みます。麴菌の生育状況が素晴らしく原料の澱粉をしっかりと糖に変えてくれます。
焼酎と外米の関係は古く、黒瀬杜氏の歴史と重なります。明治の30年代に鹿児島の南さつまに黒瀬杜氏が誕生し、それまでの焼酎造りを一新させます。今まで使われた清酒用の黄麴から発酵力の強い黒麴を使い、仕込方法も一括のどんぶり仕込みから現在の仕込み方法と配合もほぼ同様の二次仕込みを完成させます。同時に麴米に水分の少ない外米を使用し、良質な焼酎造りを始めました。外国産米は大戦などの一時期を除き芋焼酎に使用され続けています。
黒瀬杜氏の伝統をつなぐ伝承蔵
弓場杜氏自らが米造りの経験を活かし美味しい焼酎造りに励んでいます。
10月には収穫を終え、蔵人全員が一堂に会し「蔵飯」を共にします。
焼酎の仕込みと重なり忙しい時期ですが、蔵人総出で飯を炊き、おかずを作り、焼き芋を焼き、新酒を味わう。
蔵人にとって至福の時です。
蔵見学の日程と重なったお客様がどんどん参加します。今年も米の収穫時期をお楽しみに!